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1. 従来の防雷用トランス

 一般に、高耐圧絶縁のシールドトランスと、避雷器(アレスタ・バリスタ)やコンデンサを組合せて一体化した装置(防雷用トランス)が、電源線路から侵入してくる大きなエネルギの雷サージを、大地に放流し被保護機器側に移行させない目的で使用されてきました。
 この従来の装置
(防雷用トランス)を構成している主要部品の特徴は、
 
(1)高耐圧シールドトランス
 一次コイルと二次コイル間が高い電圧に耐えるように絶縁されていて、一次側の電圧電流が二次側に直接伝導するのを防ぎ、さらに、コイル間やトランスの外周に静電遮蔽板を巻いて、一次側に侵入した雷サージが、伝導及び分布静電容量を通して二次側に伝達するのを防いでいます。
 雷サージはコモンモード
(ラインから大地に流れる)ですが、後述するように配電線路の対地インピーダンスが2線で必ず不平衡なため、一次コイルの両端から侵入する雷サージ電流が互いに等しくならず、その差の成分が一次コイル内でノーマルモードとなり、トランスの相互誘導作用で二次コイルに誘導してしまいます。そのためにバリスタやコンデンサで補助されても実際には-40db(100分の1)から-60db(1000分の1)程度が限界で、雷サージの高電圧に対しては、はなはだ不十分です。
 
(2)アレスタ
 雷サージを電極間の放電によって大地にバイパスし、サージ電圧を制限する保護機器です。放電開始電圧と放電開始時間にバラつきがあり、ことに放電開始電圧に近い低い電圧サージに対しては応答速度が遅くなり、放電開始時間に甚だしいバラつきを生じます。また放電時の続流によりショート状態となり易いため、受電側のNFBがトリップすることがあります。また、稀にアレスタが破壊されてオープン状態となると雷サージの防止能力を失うことがあります。

(3)バリスタ
 ある電圧
(降状電圧)を越えると急激に電流が流れる酸化亜鉛を主成分とした電圧非直線性抵抗素子です。降伏電圧に達しないサージには効果がありません。また、電流耐量を超えると破壊することがあります。